つくる人という生き方 ~風農園の田上さんの場合~
10年前に始まった風農園というストーリー
名張市鴻之台の住宅街の一角に約500坪のビニールハウスがあり、イチゴを栽培する施設を見ながらお買い物ができる直売所を持つ「風農園」さん。朝採りのイチゴの他にも高糖度トマトや新鮮なキャベツ・ブロッコリー、おいしいお米も数種類提供されています。
ご縁があって、風農園の代表取締役である田上さんにお話を聞かせていただきました。
元々JAで主に営農指導に携わっていた田上さんは、平成21年に起業。現在は赤目地区を中心に約90筆の田んぼを借り受け、イチゴ・トマト・キャベツ・お米などを作っています。
起業するきっかけの一つは農業関係の研修会で出会った京都の農家さんだったそうです。これまで見てきた農家のイメージを一変させたその方がかっこよすぎて「惚れた」と笑う田上さんは、「新たな就農モデルの確立」「多様なる地域貢献」の2つをミッションとして掲げ挑戦を始めます。
本気で日本一のいちごを目指す男
風農園では2つの方法でイチゴを栽培しています。プランターのように土壌から離す高設栽培と、畑を耕して植える土耕栽培です。特に力を入れて取り組んでいるのは土耕栽培です。
土耕栽培は、伊賀地域では風農園しかないそうです。三重県下でも8割程度は高設栽培だというのに敢えてこだわるのか理由を尋ねてみました。
「国内最高品質のイチゴをつくるためですよ」
なんと名張で日本一のイチゴをつくるというのです。土耕栽培ならではの環境に加えて究極の栽培管理で既に手応えを感じているそうで、ほぼ中腰姿勢となり作業効率が悪く収穫量も少なくなるというリスクをとってでも圧倒的な熱量で挑戦を続ける風農園が見据えるのは「唯一無二の魅力を持った農園」であり、そこで得る希少価値こそがこの町の農業の未来そのものだと語られました。
話していると飛び出してくるのは思いもよらないフレーズばかりです。
「風農園が作っているのは農作物じゃなく作品です」
「風農園はやっているのは農業じゃないですよ、エンターテイメントです」
「風農園はイチゴを売りたいんじゃない、ストーリーを共有したいんです」
そんな風農園さんが11月23日に名張市主催「農の創造トークnabari」でこれまでの体験や失敗の数々の中から得た着想を参加者の皆さんと一緒に語り合う機会を持つそうなので関心のある方は是非参加してみてくださいね。(要申込。10月31日まで)
最後に見せていただいたのは、田上さんの手。
“つくることへの情熱が湧き止まない人”というのが私の田上さんの印象です。
指の付け根のできていたタコが、その証ではないでしょうか。
風農園の挑戦は、まだまだ続きます。
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